無投薬尾崎牛を純米酒や有機醤油、無添加塩漬け実山椒で煮てから、
昆布とかつおのおだしでのばします。

【末金典子】


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▶「ミセス」1月号から、料理研究家河村みち子さんのレシピです。私たちは毎月およそ50種類の雑誌に目を通しますが、その中から「これは」と思う書評や商品やサービスや記事やレシピをストックして、生活、事業、学習、教育、研究など、さまざまなことに活用しています。その中でも、「ミセス」のレシピは繊細で深さがあって、勉強になります。レシピに指定されている微妙な手順が料理のうまさを引き立てるカギになっていますので、今日は材料4人前(といっても、私たちの2人前ですが)のレシピを省略せずにご紹介します。

宮﨑産の無投薬尾崎牛の切り落とし肉(200g)を食べやすい大きさに切って、70度のお湯でピンク色になるまで加熱し、水気を切ります。
オイシックスから取り寄せた、九州産フクユタカ大豆100%使用絹こし豆腐(2丁)をそれぞれ8等分に切ります。
ル・クルーゼの鍋に純米酒(大さじ2)を煮立たせ、タカラの有機本みりん(大さじ2)、播磨屋本店の化学調味料無添加薄口しょうゆ(大さじ2)、有機しょうゆ(大さじ2)、①、飛騨高山の実山椒(塩漬け)(小さじ1)を加えて2〜3分煮ます。
昆布と鰹節でとっただし汁(3カップ)を加えて、煮立ったら②を加え、再び煮立ったら味をみて、足りなければ、伊平屋の塩(垢抜けないウェブサイトですがご注文はこちらです)、粗糖(甘糖太陽)で味を調えます。
④器に③を盛り、有機長ねぎを天盛りにしてできあがり。

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*播磨屋本店は美味しいおかきで全国的に有名(おすすめです)ですが、代表の播磨屋助次郎氏の強烈な個性でも知られています。ウェブサイトは彼の哲学が満載で、初めて見るとびっくりする人も多いと思います。彼の主張は別にして、私たちは、播磨屋氏の自分の信念を恐れずに口にする勇気と、噓のない製品を誠実に製造し続けている事業姿勢に共感しています。

▶牛肉をいったん茹でて水を捨てるのは、旨味が逃げてしまってもったいないと感じるかも知れないのですが、これは昆布と鰹の繊細な旨味を(肉のダシと混ぜずに)活かすためだと思います。この牛肉を純米酒、有機本みりん、薄口しょうゆ、有機しょうゆ、実山椒と一緒に煮ることでしっかりと味をつける一方、昆布と鰹のだし汁を加えた後、絹ごし豆腐を最後に加えるのは、お肉にはしっかり、豆腐にはあっさりした味つけをするためでしょう。薄口で繊細な昆布と鰹だし汁を基調とし、牛肉味わいにアクセントを残しながらも、だしでのばして全体のバランスをとる。この微妙で繊細な気遣いにはしびれました。インパクトのある濃い味を楽しむ料理とは対極の、薄口の中で微妙な味の変化を楽しむレシピです。

【樋口耕太郎】

なぜ私たちが食に関心を持つのか、おいしいレジスタンスを参照下さい。