お元気ですか?

実は、私、先月病気で倒れてしまいました。
仕事お休みさせていただくこと1ヶ月と2週間。
その間、多くの方に大変御迷惑をおかけしてしまいました。
本当にごめんなさい。でもおかげさまで、今日より、ようやくまた、
元気に再開させていただくこととなりました。

何の病気に罹ったかと申しますと、皇太子妃・雅子様が罹られて有名になった
「帯状疱疹」という病気なんです。この病気、御存知でしょうか?
私達が小さい頃にかかった水ぼうそうのウイルスは、実は長い間体に潜んでいて
よほどの疲労や大きなストレスが溜まった時に、免疫力が落ち、そのウイルスが
また復活するのだそうです。
そしてそのウイルスは、神経節から出て活動を再開し、皮膚に帯状の水ぶくれを
つくります。この水ぶくれ自体はそんなに激しい痛みではないのですが、
厄介なのは、体中の神経に直接針で突き刺されているような疼痛や激痛が、
体中を24時間襲うことなんです。
また、首から上にこの疱疹が出てしまうと、顔面神経痛や失明、聴力への影響が
出るなど大変恐い病気でもあるそうです。

この厄介な病気に私も罹ってしまい、仕事を5月11日から6月25日まで
お休みさせていただいていたという訳なのです。
この間にご連絡をくださった方、本当にすみませんでした。
御迷惑をおかけしてしまってごめんなさい。
また、たくさんの温かい励ましやお見舞いのメール、お電話など
本当にありがとうございました。

20代の頃よりの2足のわらじ生活。睡眠時間も4時間あればいいほうという
毎日でした。気が緩むお正月休みやゴールデンウィークにはどっと熱が出たり
寝込んだり、ということがあったとはいえ、大きな病気もせずに
頑張ってこられたことが健康への過信となっていたのかもしれません。
長年の疲れやストレスを、その時その時で、自分ではしっかりと
解消していたつもりでも、実はどっさりとたまっていたのかもしれません。
それに、今やもう、ちょっぴり(!)ですがトシでもありますし…。
だからちょっとショックでもあり、ビックリもしました。
そういえば去年のこの月も4日間ほど寝込んでしまっておりましたっけ。

それにこの帯状疱疹。痛いなんてもんじゃぁありません!!!!!
神経に直接針で突き刺されているような痛みですから、
高圧電流をバシッバシッと流されているような鋭い痛みが1日中続きます。
疱疹が出始めて72時間以内に治療を開始した私でこうなのですから、
治療が遅れた人になるとさらに痛みが激しいらしく、麻薬を処方される
そうです。前兆としては、体のあちこちがピリピリッと痛みます。
思い当たる方は、是非すぐにでもゆっくり休養なさってくださいね。

というわけで、このお休みは激痛に耐えに耐えた辛い毎日でした。
でもこうも思いました。
このウイルスが出てくれたからこそ、自分の体のSOSに気付くことが
できたんだと。
もっと大事に至っていたかもしなかったんだと。
「痛み」ということだって、イヤなことだけれど、
仮に、人がもしも「痛み」というものを失くしてしまうことができたとすると
どうでしょう?
ストーブなどに触ってしまっても、痛みがなければ、そのまま手を焼き続けて
しまいます。
体をケガしても病気をしても、痛みがなければ、
気付かなかったり、放っておいてしまったりして、腐ったり、死んでしまったり
するのではないでしょうか。
そう考えると「痛み」を感じるということはとても大切なことですよね。

あなたも痛いところはありませんか?
心は悲鳴をあげていませんか?

しっかり感じてあげてください。
しっかり耳をすませてあげてください。

自分の感覚を感じることができたり、
自分の声を聞くことができる人は、自分だけなのだから。

ところで、
このお休みの後半は、人間ってこんなに眠ることができるの?!というぐらい
眠りに眠り、ベッドでず~っと横になっていたり、ぼ~っとしていたり。
すると、何故か子供の頃のことをたくさん思い出しました。
夢にも同じシーンが出てきました。

おばあちゃんの家の近くにかなり大きな池がありました。
にわか雨が通り過ぎると、あたりは池のつづきのように濡れ、
そこには子どものころせつないほどわくわくした、あの「夕方」がありました。
「雨やんだ。行ってくるね」
そう言っておばあちゃんの答えを確かめる間もなく、家を走り出た気持ちを
思いだします。
水面に、小さな黒いものが浮かんで、いえ、浮かぶというよりは、
すべっているといったほうがいいかしら。とにかくたくさん泳いでいるそれは、
「アメンボ!」
古い友だちにばったり出会ったような懐かしさです。
「元気だった?」
小学校の理科の時間に、アメンボのような虫たちが、水に浮かんで泳ぐのは
「表面張力」によるのだと教わりました。理科はからきしだめでしたが、
水に棲む生物、それからアメンボやミズスマシみたいにか弱いけれども
きっぱりした生き物に興味があったので、「表面張力」のことはおぼえています。
大人になってからは、グラスにビールをなみなみと注いでもらって、
「やあ、表面張力だあ」
なんていうときしか思いださなくなりましたが。そうでした。表面張力は
アメンボやミズスマシにとって必要欠くべからざる環境条件なのでした。
(アメンボみたいに生きたい)
ふとそんな思いが湧きました。
なんでも力ずくで片づけようとしないで、肩肘張って頑張り過ぎないで、
肩の力を抜いて、深呼吸して、そして、
表面張力みたいな自然な力を頼みにしたいな、と思ったのです。
スーイスイって。

誰もが愛される大切な存在です。
自分の身体を、心を、存在を、慈しんであげてくださいね。
感謝して大切に扱ってあげてください。
そしてどうか心のどんな小さな声も聞き、
大切に、大切にしてあげてくださいね。

いつもあなたがお健やかでいらっしゃいますように。

【2008.6.26 末金典子】