雨続きの寒い毎日が続いておりますが、体調などくずしておられませんでしょうか。
明後日は心ほんわかバレンタインデーですよ~。
私と年齢の違うあなたといえども、きっと私と同じお気持ちではないかと
思うのですが…、今の自分の年齢って、自分が感じている年齢の方が、
実際の年齢よりも、う~んと若いのではないでしょうか?
私なんて気持ちはまだまだ20代なのに、え~っ?いつの間にやらもう50代!?
って感じなのですよね~。となると、必然麗王にいらしてくださるお客さまは
私よりも年下という方がどんどん多くなってくる…というわけです。
そんな年齢の私でも「麗王に訪ねて行ってやろう」という心優しいみなさんの
ために、このバレンタインメールは何かプレゼントになるようなことを
書きたいなと愛情を込めてお贈りいたします。
よくうかがう悩みごとが
「自分の生き方に自身が持てない」「何となく毎日を生きている感じがする」
「成功やお金儲けはしたいけど、どうしたらいいのかわからない」
ということです。
私はいつもこうお話ししています。
「できるだけ自分に素直に、今やりたいと思うことを全部やっておいたほうが
いいですよ」って。
それは、体験から来る実感だから。
いろんなコンプレックスを抱えて、仕事のことで悩み、始終葛藤していて、
おまけに結婚もせずに自分はひとりで生きているんだと信じ込んでいたので、
他人への理解度もまだまだ浅かった失敗だらけの、今振り返ると赤っ恥の若い時代。
でもそういう失敗の数々もまた何かを「為した」ゆえなのです。
つまり、自分に多くのものをもたらしてくれたのは
「成功の反対は失敗ではなく、何もしないこと」だという事実でした。
傷ついたり悩んだりする中で、何となくいろんなことを学んで、気がついたら
自分にとって大切なものや使う言葉、選ぶべきものがだんだんわかってきた気が
します。
今感じるのは、結局は若いときに経験してきたことが貯金になっている
ということなのです。今の私は、その利息で生きているようなものです。
(もちろん今でも必死に経験貯金してはいるつもり…)
だから、若いうちに、自分に正直になって、一所懸命、経験を増やしたほうがいいと
思うんです。
それでも、モヤモヤを抱えて生きるのは苦しいものですよね。
ではこんなふうに考えてみてはどうでしょう?
自分のいいところ、理想的な部分ってありますよね。
反対に捨てたほうがいいと思うだめなところもありますね。
いいと思うところは他の皆と似たり寄ったりの価値観で、
実はだめなところのほうがユニークだったりすることが多いのです。
これこそが個性なんです。ここを捨てたり、否定したりすると、
一見いい人になるかもしれないけれど、いったい自分って何なんだ、
こんな自分を誰が愛するんだという気がしませんか。
欠点こそが、愛すべき個性になりうる。
それを私に教えてくれたのは、詩人・高村光太郎でした。
彼は「最低にして最高の道」という詩に、醜いものと美しいもの、最低と最高は、
常に自分の中に共存していると書き、私はその価値観に、大いに影響を受けました。
「道程」も「レモン哀歌」も大好きでしたが、この詩はそれまでの価値観が
ひっくり返ってしまうくらいの大きな衝撃でした。
「そうなんだ~、何も他人の価値観の最高を目指さなくても、こんな自分の中での
最高の道を行けばいいんだ」と、急に視界が開けた気持ちになったのを
今でも覚えています。そして今までずっとこの詩のようにありたいと
生きてきたように思います。
人生だって、良いこともあり、悪いこともあります。
人間だって同じことで、欠点だけを消そうと思うと、魅力はなくなってしまいます。
両方をありのままに調和させて生きていくことが、人間らしく生きる
ということであり、人生そのものなのでしょう。
誰もが最高を目指し、そういう自分でありたいと思っています。
でも、それで人間として魅力的かというと、決してそうなっていないんです。
むしろ弱いところ、だめなところにこそ自分らしさがあって、強みになるんだと、
認めてあげてほしいのです。
きれいじゃない自分も大切な自分。
弱さを否定せず、抱きしめて生きてくださいね。
ネガティブな部分を愛するようになれば、人は不思議と自分らしい顔つきに
なっていくものです。
また、他人を許し、受け容れることもできるようになります。
それこそが、とても素直な生き方なのではないでしょうか。
きっと、真っ暗闇から日向に出たような気持ちになることができると思いますよ~。
明後日はバレンタインデー。
あなたと感動を分かち合いながら最後に、「最低にして最高の道」をともに行こうよ、
と高村光太郎の詩をプレゼントさせていただきます。
「最低にして最高の道」
高村光太郎
もう止そう。
ちひさな利慾とちひさな不平と、
ちひさなぐちとちひさな怒りと、
さういふうるさいけちなものは、
ああ、きれいにもう止そう。
わたくし事のいざこざに
見にくい皺を縦によせて
この世を地獄に住むのは止そう。
こそこそと裏から裏へ
うす汚い企みをやるのは止そう。
この世の抜駆けはもう止そう。
さういふ事はともかく忘れて
みんなと一緒に大きく生きよう。
見えもかけ値もない裸のこころで
らくらくと、のびのびと、
あの空を仰いでわれらは生きよう。
泣くも笑うもみんなと一緒に
最低にして最高の道をゆかう。
* この詩は昭和21年の中等の教科書に1年間だけ掲載され、新制中学の教科書には
掲載されなかったそうです。
今もずっと掲載されていたなら、もしかしたら世の中の何かが変わっていたかも
しれませんね。
【2014.2.12 末金典子】