一時の寒さも少し和らぎましたね。
あなたはいかがお過ごしでしょうか。
今年もこうしてあなたに、一年最後のお便りをお届けできることを
心より嬉しく思います。ありがとうございます。
今年もなんとか一年を乗り越えられました。一歩一歩ゆっくり歩むこと。
このような歩みが麗王にいらしてくださるあなたと共にあることを
心からお祈りいたします。
去年の最後にお便りを書かせていただいた日からあっという間に
もう一年が経とうとしているんだなと、今日はことさらに感慨を深くしました。
大地震と津波、それに原発事故のことなど誰も思いだにしていなかった平和な
昨年の暮れの日々が確かにあったのです。
1970年代にオイルショックというものがありました。
そのとき、トイレットペーパーや洗剤などの物資不足、省エネ対策、節電など
今と変わらない現象が起きました。当時も社会のいろいろな仕組みに対しての
戒めだと感じました。けれど、そのときの気持ちを私達は忘れてしまって
いたのではないでしょうか。神様は、人の行くべき方向が間違っていると、
バランスをとるかのように向かう道を変えさせるのでしょう。
ですから、神様からの試練のような出来事に直面したら、とにかく知恵を
働かせて何か行動することが大切です。誰かが助けてくれることを
待っているだけでは何も始まりません。今いる場所から少しでも前へ。
たとえ失敗したとしても、いつか次のステージにたどりつくことができると
思います。そしてそれがきっと美しい未来につながるのだと信じています。
私の場合の何か行動することとは、「食を守る」いうことでした。
農薬、化学性の添加物、放射能など私達の体を作る食がどんどん劣悪なものに
なっていっているなか、ご縁あって立ち上げた有機無農薬野菜を生産・販売する
会社が「ダイハチマルシェ」でした。大八産業さんの事業再生も無事終えた今、
この会社は来年から玉城勉さんにバトンタッチされ運営されることになります。
その会社の入社式にお招きした大城さん御夫妻から記念のプレゼントとして
サボテンをいただきました。
ほんの少し前まで、私の最も好きなお花といえば白バラでした。
真っ白な凛とした美しさが大好きでした。ところがこの日以来、サボテンの
存在感に心を奪われるようになりました。
サボテンは健気です。人の手をわずらわせることなく、たとえ水分が少なくても
自力で生き、雨が降ればきっちり水分を蓄え、ときにはきれいな花だって
咲かせてしまう。実に力強く、一生懸命な感じがしませんか?
人からいろんな面倒を見てもらわないと生きていけないような華麗な花は、
今の私の気分にフィットしないのです。生き方だってそう。
誰かをあてにして頼って生きていくような生き方は少しも素敵ではありません。
誰もが自分のことは自分で守る。そして周りの人をも助けられる人に
なりたいものです。
自然災害、経済恐慌、国際紛争、テロ…何が起こるかわからない今、この時代に、
私達はどう生きるかを問われているのではないでしょうか。何が起ころうと、
覚悟を決めて生き抜かなくてはなりません。
なぜなら、それは今私達が生かされているから。なぜ自分が生かされているのか、
どう生きるべきなのか、それを一生懸命考えることです。
生き物としての緊張感を持って生き、何が自分にはできるのかを問うこと。
生きにくい時代ですが、それを社会のせいや政治のせい、誰かのせいにしても
何も生まれないし、答は出ないのです。自分ができる範囲のことから、
まず何か行動を起こすことです。
私は、何事も前倒しに行い、すべきこと、できることは後回しにせず、
何かあっても後悔しないように生きようと思っています。
さて、今年の初め、「麗王」という店がいらしてくださる方々にとって、
どのようなものでありたいかをあらためて考えました。
ひとつはお話をじっくりと心で聞いてさしあげること。
小さな心の機微にも気づいてあげることができること。
少し肩を押してあげることができるように。
そして、なによりも愛を持ってあなたの心をあたためられるように。
いらしてくださればくださるほど、安らぎとあたたかさを感じられる場所で
ありますように。
今は人の集う場所はたくさんあります。そういった中での「麗王」の役割は、
日々のちょっとした折にいらしてくださったときに、ほっとするような、
少しだけでも世の中の騒音を忘れさせてくれるような空間でありたい。
あなたの心をあたためられる場所でありたい。
そのような想いをこめて、今年一年「麗王」で立ってまいりました。
今年も本当にありがとうございました。
会社設立などいろいろとバタバタしオープンが遅くなったり大変御迷惑を
おかけしてしまいました。それでもなお今年もまた続けさせていただいたことを
思うと感謝の気持ちで胸がいっぱいになります。
たくさんのお店の中からわざわざ選んでまでいらしてくださったあなたの
温かい想いを胸に、来年はまた軌道修正しがんばってゆきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
来年こそ平穏な年でありますように。
そして何よりも、あなたがどうかこのうえもなくお幸せでありますように。
【2011.12.21 末金典子】