ナビィの恋、ホテルハイビスカスなど、沖縄を舞台にしたドラマや映画に数多く出演されている吉田妙子さん、BEGIN「うたの日カーニバル」の司会でお馴染みのきゃんひとみさん、アナウンサーの幸地優子さん、うちな~噺家藤木勇人さん、その他にも普久原明さん、宮里京子さん、金城翔子さんなど、沖縄で活躍中の有名キャストによるお芝居、『かじまやーカメおばあの生涯』(pdf) が 12月12・13日(土日)、16日(水)に沖縄で上演されます。戦争と基地問題は沖縄では特に関心が高いテーマであることはもちろんですが、民主党政権の政策に関連して非常にタイムリーでもあり、またご縁があって私(樋口)も役者として舞台に立つことになりました(沖縄タイムスの新城記者役)。

脚本は、「あしたへジャンプ」、「中学生日記」や「ヘレンケラーを知っていますか」など数々の社会派映画の脚本をお書きになられた下島三重子さん。そして!日本では五本の指に入る舞台演出家、新国立劇場芸術監督の栗山民也さんが演出をなされます。栗山さんの舞台の主な出演者は、大竹しのぶさん、石原さとみさん、内野聖陽さんなどなど。また沖縄入りの前まで小日向文世さんや平田満さんのお芝居、沖縄が終わると今度は仲代達也さんのお芝居と、過密なスケジュールを無理やりこじ開けて、沖縄公演の演出を引き受けていらっしゃいます。

11月29日の琉球新報でも報道されましたが、『かじまやーカメおばあの生涯』の主人公カメさんは、北谷町砂辺に実在した「沖縄の反戦ばあちゃん」松田カメさんがモデルです。カメさんは沖縄に生まれ、先祖供養の墓を作る費用を貯めるためにサイパン島に出稼ぎに出、そこで民間人の犠牲者の割合では沖縄よりも過酷といわれるサイパン地上戦に巻き込まれながら、奇跡的に生還したひとりです。案外知られていないことですが、太平洋諸島で犠牲になった民間日本人の過半数は沖縄県民で、サイパンはその典型と言えます。九死に一生を得てサイパンから沖縄に引き揚げると、自分たちの土地は米軍に接収されていました。ようやく10年後に一部の農地が解放されてからは、嘉手納基地に隣接する砂辺の土地に家を建てたものの、そこは真上を戦闘機・輸送機が爆音を轟かせて離着陸を繰り返す「戦闘機の通路」になってしまっていました。防衛施設庁は、土地を買取るから移転せよ、という。カメさんはこの場所を終の棲家とし、畑を耕し、その後40年間農民として生きた人です。カメさんがこの場所で「ただの生活」を送ることは、反基地・反騒音の長い闘いの人生を送ることを意味し、いつしか反基地闘争の象徴として「沖縄の反戦ばあちゃん」と呼ばれるようになりました。

今回のお芝居では、事業仕分けで話題になっている、思いやり予算による軍雇用員の公務員並待遇を始め、「反戦基地運動」をする軍雇用員、就職難のために軍雇用を考える帰省者、働かないことが自分の仕事とうそぶく軍用地主の息子、更に、ヤマトゥとウチナーの超え難い壁に苦悩する東京の演出家などが登場し、普段語りにくい、しかし沖縄に住む我々にとって身近なテーマが多く盛り込まれています。政治的意図のない芝居だからこそ事実を考えるきっかけにできる。そんな役割も果たせるのではないかと思います。

純粋な舞台としても、世界で活躍する栗山民也演出の公演をこの価格で観られるのは、日本の他の地域ではまずあり得ませんし、沖縄においても今後恐らくないことと思います。

当日券もございますが前売り券の方がお安いので、「ご希望回の公演(①~⑤)」「枚数」をご指定の上お申し付けください。樋口携帯:090・1428・9185、もしくは本ページ右下の「お問合せ」をクリックして、メールにて御連絡頂けると幸甚です。金額は一般2,000円、小中高生1,000円(当日券500円増)です。

①12月12日(土)午後1時開演、ちゃたんニライセンターカナイホール
②12月12日(土)午後6時開演、ちゃたんニライセンターカナイホール
③12月13日(日)午後1時開演、ちゃたんニライセンターカナイホール
④12月13日(日)午後5時開演、ちゃたんニライセンターカナイホール
⑤12月16日(水)午後7時開演、浦添市てだこホール
(いずれも開場は30分前)

詳しくはこちらを参照下さい(冒頭『かじまやーカメおばあの生涯』(pdf)と同じものです。)

【2009.12.1 樋口耕太郎】