暑~い夏も一段落し、少し身体に優しい風が吹き始めました。
お元気にしておられますか?
インフルエンザも流行っていますし季節の変わり目は体調も崩しやすいので
くれぐれもお身体にお気をつけくださいね。
何といっても健康あってこその幸せですから。
実は先月、お客さまが心筋梗塞で亡くなられました。
まだ50歳になられたばかり。
時を同じくして、同じ年齢の女性もガンで亡くなられました。
共に人のために尽力される素晴らしい人生を歩んでおられた途中でした。
心残り幾許であったことでしょう。心から御冥福をお祈りいたします。
今の日本人の三大疾病は、この「心筋梗塞」・「ガン」・「脳卒中」
なのだそうです。
以下は、ある男性が書き残した手記にまつわるストーリーを
抜粋したものです。
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その日の朝、彼はいつもより眠気を感じていた。疲れてもいた。
前の晩、遅くまで起きていたし、ベッドに入ってもなかなか寝つけなかったのだ。
しかし、もう少し眠ろうという考えをすぐに捨て、片づけなければならない
膨大な仕事のことに頭を切り替えた。
いつも通りに顔を洗い、髭を剃った。ここ数日、眠れない夜が続いたせいで、
顔からは生気がうせ、目元にはクマができていたが、気に留めることはなかった。
剃り残した髭にさえ気がつかなかった。
コーヒーを飲み干し、気のない「おはよう」を呟き、妻と会話もせずに家を出た。
結婚して何年もたつのに、家にいないことの多い彼に不満をぶつけ、もっと一緒に
時間を過ごすべきだと言いつのる妻が理解できなかった。彼女が求める暮らしを
維持しているだけで十分ではないのか、と思っていたのだ。
彼には、尻尾を振る犬に笑いかけたりする余裕もなかった。
娘から携帯に電話が入りランチに誘われたが、仕事をすっぽかすわけには
いかないと断った。じゃあ次の休日にでもと言う娘に「本当に時間がないんだ」と
断った。
会社に着いた彼は、社員とろくに挨拶さえ交わさなかった。予定がびっしり
詰まっていて、すぐ仕事に取りかかることが大事だったからだ。
たわいもない世間話で時間を無駄にしたりはできないと思っていた。
ランチタイムになった。彼はサンドイッチとソーダを頼んだ。
コレステロール値が高く、検査する必要があったが、その時間は来月まで
取れそうになかった。午後の会議で使う書類に目を通しながら、ランチを
食べ始めた。何を食べているのかなんて、まったく頭になかった。
電話の音が聞こえたとき、彼は少しめまいを感じ、目が霞んだ。同じ症状が
出たとき、医者が言ったことを思い出した。「ちゃんと検査しないとダメですよ」
でも、大したことはない、強めのブラックコーヒーでも飲めば何とかなるだろうと
彼は決め込んだ。
目を通すべき書類、下すべき決断、引き受けるべき責任。そうしたものがどんどん
増えていく。
会議に遅れそうになったので、エレベータが来るのを待ちきれず、彼は階段を
二段ずつ駆け下りた。ビルの地下にある駐車場が地底の奥深くにあるかのように
感じられた。
車に乗り込み、エンジンをかけたとき、再び不快感がこみ上げてきた。今度は
胸の鋭い痛みだ。だんだん息が苦しくなり…、痛みが増し…、乗り込んだ車が
消え…、周りの車が全て消え…。柱、壁、ドア、日の光、天井のライト。
彼の目には、もはや何も映らなかった。
代わりに、馴染み深い光景が心に浮かび上がってきた。まるで誰かが
スローモーションのボタンを押したかのように。一枚一枚、彼はそれを
眺めていった。妻、娘、彼が最も愛した一人ひとりを。
「俺はなぜ、娘と一緒にランチをしなかったんだろう?」
「朝、家を出るとき、妻は何て言ってたっけ?」
「この前の休み、なんで友達と釣りに行かなかったのだろう?」
胸の痛みは止まらなかった。でも、彼の心には「後悔」という名の別の痛みが
うずきだしていた。
彼の眼から、静かに涙があふれ出た。
そしてメモに書き残した。
生きたい もう一度 チャンスが欲しい
家に戻って妻と過ごしたい
娘と会いたい
できるなら できるなら――
**********
幸いにもこの男性は奇跡的に助かり、この手記を発表されました。
私もここまでではありませんが死にかけたことがあるんです。
今からちょうど10年前、昼も夜も仕事を続けていてもう毎日がくたくたで、
年末から体調がひどく、もう少しでお正月休みだからと無理を重ねていたところ
ある朝起き上がれなくなるほど体調がひどくなり、なんとかタクシーで
中部病院へ。「ただのカゼですね。この薬を飲んで温かくして眠れば治りますよ」
と先生に言われ総合感冒薬をもらいました。その日はその通りしてみましたが、
熱はどんどん上昇し、咳はひどく、どんどん悪化していきます。
次の日、一人暮らしの私を、コザから那覇まで毎日お世話になっているタクシーの
運転手さんがすぐ近くの医院まで抱きかかえるように運び込んでくださいました。
診察してくださったお医者さまはすぐ異常を察知し、「すぐに入院させます。
インフルエンザをこじらせ、肺の状態がかなり悪くなっています。
危ないところでしたよ。」と運転手さんに告げたそうです。
点滴を受ける間、朦朧とした頭で、なんだかとても「生きたい。死にたくない」と
思いました。お医者さまに危機を聞いていたわけではありませんが、本能的に
感じ取っていたのかもしれません。
あと1日生きられるなら、あと3日生きられるなら、あと1週間生きられるなら、
と遠くなる意識の中、必死に考えました。「もう一生さぼりません。頼みます、
生きさせてください!」
丸2日眠って目が覚めたとき、ちょうど病室の窓から朝焼けが見えたのを
よく覚えています。一番最初に見たのは看護婦さんの笑顔。あぁ~生きてる!
と思いました。もう与えられた人生を無駄にはしない、と。
「あなたが空しく生きた今日は、昨日死んでいった者があれほど生きたいと
願った明日」
この言葉は、韓国のベストセラー小説「カシコギ」の一節ですが、私が当時感じた
「生きたい」「もう無駄にはしたくない」という強い気持ちをいつも私に
思い起こさせてくれます。ちょっと長い言葉ですが、私はとても大事にしています。
そんなことを振り返っていたら、ある素敵な出会いを思い出しました。
7月に名護からとても素敵な女性が私に会いに来てくださいました。
彼女は今41歳で、6年前に乳ガンを患われ、手術や抗がん治療も試みるもまた再発。
今度は坑がん治療などの化学療法だけに頼らず、沖縄のセンダンなどの
自然代替療法に果敢に挑戦され、見事にガンが消え克服された女性なんです。
そう書くとやたら強い女性を想像されると思うのですが、
彼女が入って来られた時、あまりにふんわりと美しい光に包まれ、
きらきらと輝いておられてびっくりしたほどなんです。
彼女のお顔の美しさだけではなく、すごくにこにこ、いきいきとなさっていて、
とてもガンを患っておられた人には見えないんです。どころか、健康な人よりも
はるかに「今を生きている!」という光り輝く美しさに圧倒されてしまったほど
でした。きっと、今この瞬間を大切にし、謳歌しておられるお姿なのでしょうね。
土曜日からシルバーウィークが始まり、お忙しいあなたも少しほっとしますね。
人生という行路をずっと走ってきたのですもの、少しのんびりなさってくださいね。
そしてどうか、あなたの命、あなたの愛する人、あなたを支えてくれる周りの
人達を大切になさりながら、今この瞬間を、限りある時を、楽しくお過ごし
くださいね!
【2009.9.17 末金典子】