GWも終わりまた日常が戻ってきました。
あなたはいかがお過ごしでしたでしょうか?
私はと申しますと、友人の結婚のお祝いに名護での飲茶のお食事会に行ったり、
瀬長島の台湾夜市に出かけたり、プラザハウスのインドネシア料理を食べに行ったり、
モーレツにお部屋の大掃除と模様替えをしたりと、のんびりしようと思いつつも、
結構食べること中心に(!)お出かけの毎日を過ごし、ランニングや大掃除も
したものの体重が⤴⤴⤴ (-_-;)💦
さて。
50歳を過ぎたころから、もの忘れが気になるようになりました。
よく知っている人の顔が浮かんだのに、名前が出てこない。
それまでなら、なんてことのないお店の名前や、どうでもいいケーキの名前まで
よく覚えていて、「ほら、あの」くらいの間があっても、必ず思い出せたのに、
思い出せないまま、うやむやに終わる経験が、間遠だけれども度重なり、
雪が淡く降り積もるように、脳のそこここに「見つけられない」場所が増えていく…
私の脳は、どうなっちゃうんだろう、これが進めば認知症になっちゃうんだろうかと、
そんな不安に襲われてしまったり…。
言語学の先生がおっしゃることには、「あなたが忘れるのは、まだ固有名詞でしょう?
80代に入ってくると、普通名詞を忘れるようになります。固有名詞のうちは、
もの忘れとは言いませんよ。」
そう、たしかに、私は、人の名前は忘れるけれど、「人」という普通名詞を
忘れるわけではありません。
先生は、こうもおっしゃいます。「普通名詞を忘れると、その存在意義も忘れます。
つまり、しゃもじを手にして、その呼び名が分からなくなったときは、
それが何に使うことができるものなのかも見失うんですよ。」と。
人工知能研究者の黒川伊保子さんによると、脳科学研究の所見上では、
ことばは、今を生きることに必要でなくなったものから消えていくそうです。
そして、人は、やがて、この世に別れを告げる準備に入ります。
遅かれ早かれ、人は、いくばくかのことばを失なっていくのです。
多くは、覚えた逆順に、消えていくのでしょう。
そうして、最後は、人の手のぬくもりだけを頼りに、もと来た場所へ帰っていくのです。
その人生の始めに、母の手に何もかもゆだねたように。
なので、その道のりを憂うことはないのです。今とこれからを生きるために
必要でないものを捨て去り、魂はきっと身軽になっていくのです。
誰もが行く道なのです。脳には、その行き方が最初からプログラミング
されているはず。
だって、生まれてからの育ちも、ちゃんとプログラミングされているんだもの。
この世におぎゃあと生まれたら、目でおっぱいを探して吸うことをどの脳も知っていて、
目の前の人の顔の表情筋を脳裏に映し取るようにしてことばを獲得し、
体幹を使って寝返りを打ち、歩きだす…。脳にあらかじめ仕込んであった生体の
プログラムが発動するのです。
最後の道のりもきっと同じなのでしょう。脳に抜かりはありません。
母が逝ったのは、2月でした。
最後の数日、母はまるで、私の子どものようになりました。
私が病院に顔を出すのを、幼子のように楽しみにしてくれたのです。
あるとき、「もうお父さんと暮らすのはいやや。」と母はさめざめと泣きました。
私は、「退院したら、沖縄に来たらどう? 弟ももう大人なんだから、
お母さんがいなくても大丈夫だって。今度こそ沖縄でしばらく暮らしたら?」と
言ったら、母は、幼女のように「ふふふ。」と笑いました。
随分母には支えてもらいました。「親孝行して、恩返しをする」と思っていたのに、
目の前で無垢な幼子のようになっていく母を前に、それをする時間が
残っていないことを悟りました。
もっと生きてほしかった。もっと元気なうちに無理矢理にでも沖縄に呼んでおけば
よかった。私は永久に、母に借りがあります。
母は、急いで幼子になりました。それでも、きちんと幼子になって、最後は、
もと来た場所に戻って行きました。
ところで、先ほどの脳のお話に戻りますが、
「脳の絶頂期でもあり完成期は、56歳から!」ということのようなのです。
脳は、28歳までは新しいことをインプットする入力時期、
29歳から56歳までは入から力出力に切り替わる惑いといらだちの時期、
そして、56歳以降が出力性能の最大期だそうです。
つまり、それまでの失敗・成功事例をもとに、瞬時に本質を見極められるようになる
ということ。
失敗しにくく、成功しやすい状態なのですから、今後の人生楽しくないはずがありません。
黒川伊保子さんいわく、「人の名前が出てこない? まったく問題なし!
脳にとって不要な記憶ということですから。」と嬉しいお言葉。
無駄なものを捨てていくのが、脳の最大のテーマなのですね。
幼子になった母を見送った私は気づくとその56歳になっていたのでした。
そしていつか私も、母のように、幼子になってもと来た場所へ戻って行くのでしょう。
それまでは麗王で、母への恩返しをみなさんにペイ・フォワードするべく、
がんばりたいと思っています。
この日曜日はどうぞ優しい気持ちを贈る母の日をお過ごしくださいね。
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麗王
トリニティ株式会社
末金典子