あさりとムール貝をオーガニック白ワインで蒸したあと、
蒸し汁にサフランを加えて龍の瞳有機JAS米を炊き上げます。
華やかな色と、香り、味を充分に出すパエリアです。

【末金典子】


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▶1984年開業、今年30周年を迎えるフランス料理の名店「シェ・イノ」(東京京橋)古賀純二料理長のレシピです。メインの食材はなんといっても有頭海老。世界最高品質といわれるニューカレドニア産の「天使の海老」をスローフード専門のハイ食材室から取り寄せました。化学的な薬品や飼料を使わずに、自然に近い環境で育てられ、最高級食材として主にフランスと日本に輸出されているブランド海老です。透き通るようなブルーの海老は他に見たことがありません。

▶北海道産のイカは頂き物ですが、その他のあさり、チリ産ムール貝むき身(冷凍)、北海道産帆立貝柱はいずれもサンエーハンビータウンで入手しました。ムール貝がむき身ではなく殻付きだとさらに良いダシがとれたと思うのですがやむを得ません。トマト、韓国産赤パプリカ、プチトマト、広島県産レモン、サフラン、岩手県産有機にんにく、北海道産有機たまねぎ、パセリはいずれもサンエーハンビータウンです。

サフランはアヤメ科の花のめしべで、独特の上品な香りを持ち、料理を優しい黄色に色付けます。1グラムのサフランを採るのに160個ほどの花が必要で、ひと花ずつ手作業で摘み取るために高価なスパイスです。街場のレストランでは、コストを抑えるためにサフランの代わりにターメリックなどで黄色く色を付けるところが多いと思いますが、料理のふくよかさはまるで別物になると思います。S&Bからは有機サフランも販売されているのですが、今日はGABANのサフランを使いました。あさり、ムール貝を有機白ワインで蒸した後、蒸し汁にサフランを加えて色、香り、味を十分に引き出します。

オールクラッドのフライパンにオリーブオイル、有機にんにくみじんぎり、有機たまねぎみじん切り、湯むきトマトの角切り、パプリカ角切りを入れて炒め、岐阜県下呂産「龍の瞳」(有機JAS)を加えてお米が透き通ってきたら、サフランを加えた蒸し汁を加えて炊き上げます。最後に有機白ワインで蒸したあさり、ムール貝、イカ、背わたをとって軽く焼いた天使の海老(有頭)、プチトマトを加えて蒸らした後、パセリのみじん切りをふり、レモンを添えて出来上がり。

私が今まで食べたパエリアの中で最高の一品でした。ごはんが炊きあがった後からシーフードを入れて蒸すのがポイントで、具がしっとりとしてみずみずしく仕上がります。

▶飲み物はケニア産有機紅茶のアイスティーに自家製粗糖のガムシロップです。

【樋口耕太郎】

なぜ私たちが食に関心を持つのか、おいしいレジスタンスを参照下さい。

1月も早や終わり、明日はもう節分ですね。
節分というのは、平安時代の宮中儀式「追儺(ついな)」が始まりと
いわれていて、この日は立春の前日で文字通り季節を分ける境目。
旧暦でいう大晦日なんです。それで前年の悪疫邪気払いの行事として
この「追儺」が行われていました。

では、なぜ「豆」を投げるのでしょう?
実は鬼の目「魔目」に豆を投げれば「魔滅」するからだとか。

また煎った豆でないといけないのはどうしてでしょう?
生の豆は芽が出てくるため、そこから鬼が芽を出という説や、
豆(魔目)を煎ることにより鬼を退治するという説もあるそうです。
つまり豆自体が鬼なので、外に投げ「鬼は外!」、あるいは
食べてやっつけろ!というわけですね。

さて。
あなたは、「マスターズ甲子園」という大会を御存知ですか?
私は野球のことは全然詳しくなくって、以前、藤田設計・所長代理の
玉代勢さんが麗王にいらしてくださっていた時にお話をうかがいして
初めて知ったんです。
(この玉ちゃん、高校野球の審判をボランティアで20年近くも
続けておられる方で、麗王では数限りない高校野球のエピソードを
お話してくださり、高校野球といったら玉ちゃんの右に出る人はいない
という方なんですよ~。)
この「マスターズ甲子園」。
かつて高校野球に出場した元・高校球児たちが甲子園球場を舞台に
世代を超えたOBチームを結成して再び甲子園を目指し、
野球を通しての同窓会を行いそれを生涯スポーツとし発展させ
また次世代の子供たちに野球の素晴らしさを伝えていくことを目的に
2004年から創設された大会で、別名「秋の甲子園」とも呼ばれているんです。

この「マスターズ甲子園」を舞台に、「アゲイン 28年目の甲子園」という
映画が作られ今公開されています。
http://www.again-movie.jp/

再び夢を追う不器用な父親たちの物語で、野球を通して生きる喜びを
再認識し、人生と向き合っていく姿が描かれています。
原作は直木賞作家であり、2006年から、「マスターズ甲子園」の応援団長も
つとめておられる重松清さん。主演は中井貴一さん。
主題歌が浜田省吾さんです。

元高校球児だった影もなく、バツイチで一人娘とも絶縁状態の
サビついたオヤジが主人公。そんな彼のもとに、
「元高校球児達が再び甲子園を目指すマスターズに参加しませんか?」と
一人の女子大生が訪ねてきたことから、オヤジ達の心が揺れ始めます…。

社会的には、元気がないと言われる40代、50代。
だけど、私自身、50歳を迎えた時に思ったんです。
ああ、やっと50歳になることができたな、と。
40代、50代は、親の介護を経験したり、人の生き方というものを一番
体感する時でもあり、会社の中や、社会でも自分の意見が通るように
なってきたり、いろいろな人とも繋がりやすい世代です。

だけど、男性は特にそうだと思うのですが、55歳、60歳で定年を迎える
今の日本の社会だと、男として最も脂ののっている時期に、あと何年…と
終わり方を考えなくてはなりません。40代後半、50代がなんだか
前を向くことができない社会。
人間、歳を重ねると涙もろくなると言うけれど、それはいろいろな経験を
重ねたからこそ、痛みがわかり、泣くことができるようになる、ということだと
思うのです。本来なら、40代、50代は人としてそんなふうに
いい時期なのに…。

そういうオヤジ達が再び挑む甲子園への道のりの中で、たびたび耳にするのが、
「ちゃんと負ける」という言葉です。確かに、真剣に挑んだ後の、オヤジ達の顔は
勝ち負けなんかに関係なくすがすがしい。きちんと負けることの大切さ
というものも伝わってきました。
人生の中では「勝つこと」以上に「負けること」も大切だと思います。
「勝つこと」は自信になるけれど、「負けること」は成長に繋がります。
次に勝つために負けるのです。
言い換えると、負けを知るからこそ勝つことができる。
負けを知ることで、もっと大きな何かを得るという価値観。
負けたことから逃げないという自覚。
負けっぱなしではなく次は勝つようにしようという精神性。
大切なのは闘い続ける勇気を持つことなのだと思います。

またこの映画では登場人物たちが10代の頃の後悔と向き合うのですが、
「あの時やっておけば」っていう悔いって、その頃からあるんですよね。
30代、40代も結局その繰り返し。
なので私は学習しました。
やりたいこと、やるべきことはとにかく今やろうと。
50歳から80歳まで30年。0歳から30歳までの30年を思えば、
いろんな経験を積むことができると思うのです。
年齢なんて関係ないとずっと思っていたけれど、50歳の扉って意外と重いもの。
50歳を迎えた途端、人生の終わりについてもちらりと考えてしまったり…。
以前は先を見てばかりいたけど、これからは今をしっかり生きたい、
そう思うようになりました。今をしっかり生きることが、悔いなく生きる人生に
つながるのではないでしょうか。

麗王には30代40代の方も多くいらっしゃるのですが、
20代のころに比べたら30代40代なんて何をするにも遅すぎると
思っているかもしれません。
でも、今からいろんなことができるということを忘れないでほしい。
夢なんて今さらと思わないで。
歳を重ねてから叶う夢だってあるんだから。
つらいことや大変なこともあるけれど、経験を重ねてこそ得ることができる喜びが
あるんです。
歳を取るのも決して悪くないですよ~。
山に登るように、登ってみると初めて見えてくる景色があるんです。

あなたには、再び挑みたい「アゲイン」ってありますか?

さぁ、明日は節分。
新年のエネルギーは一月ではなく二月の節分を越えたあたりに
動き始めるのだとか。つまり、節分を越えると、今年のエネルギーが非常に
はっきりしてきますので、今年の幸せに向かう目標や新しいアゲインやトライは、
この頃にまっさらな気持ちで始めてみるのもいいかもしれませんね。

私にとってのアゲインってあるかなぁ…。
実はないかも…。
だって、後悔のないように常に挑戦し続けている気持ちでいるから。
ただ、ちゃんと負けて次に勝つことは学びたいですし、
今をしっかり生きて、悔いなく生きる人生にしたいと思っています。

火曜日はあなたも大きな声で豆をまいて。
「鬼は~外、福は~内!」
複雑な課題の多い今日この頃、厄払いはしっかりとしたいものです。
私も邪気を払うべく、もっと元気になるべく豆を今までより少し多めに撒き、
しっかりと数え歳プラス1個のお豆さんをいただくことにいたします。
そして今年の恵方の西南西に向かって、幸運をおいしく呼び込む恵方巻き寿司を
ガブリ!とまるかぶりするぞ~!
あなたと私の今年一年の幸せを、今日を元気に生きていることの幸せを、
心から願って。

* 麗王でも明日は「手作り恵方巻き」を御用意いたしておりますよ~。

【2015.2.2 末金典子】