安全且つ美味しいものをとほぼ毎日自宅で二人で手料理を作っています。
毎回の食材には、できる限り有機無農薬野菜を揃え、
お肉は、紅豚や、無投薬の刀根鶏や、
無投薬オーガニックの尾崎牛やニュージーランド牛などを使用し、
化学性の調味料は一切使わず、有機の調味料などで味付けをするなど、
無添加のこだわりのメニューです。ごはんは、NHKでも紹介され
ますます手に入りにくくなった突然変異でできたという昨今話題の貴重な
「龍の瞳有機JAS大粒米」を送ってもらって、土鍋で炊いています。

今日のメインメニューは
「ナチュラルビーフ・ペッパーステーキ」です。
我が家は今日が今年の仕事納め。
一年のお互いを労って特別なステーキを。
オーガニックのあらびきブラックペパー。ただ、それだけをまぶしつけた
ナチュラルビーフをよ~く熱したオールクラッドのフライパンで焼きつけます。
よいお肉なのでうまみがグッとくる一品です。

【末金典子】


写真をクリックすると拡大できます。

▶ナチュラルビーフはニュージーランド産のオーシャンビーフを試してみました。ロースの芯の部位だけを使ったリブロースです。スローフード専門のネットショップ「ハイ食材室」から取り寄せ。

ウェブサイトの説明文より:「広大で豊かな自然環境のかな飼育され(牛にストレスとためない環境=お肉が硬くならない)、 とさつ前、150日~180日の間小麦を主体とした飼料を与え飼育されます。よってその運動量によりお肉に刺しが入り、そして穀物飼育を行うことにより、 甘みのある肉質になるのです。つまり強制的にトウモロコシなどを与え強制的に刺しを入れこんだお肉ではないのです。あくまでも自然環境の中で、自然に健康 的に育った牛のみをご提案させて頂きます。」

▶有機ペッパーはS&Bの有機ブラックペッパー粗挽きはサンエーコンベンションシティの有機コーナーで購入(なぜかサンエーハンビータウンでの扱いはありません)。コショウなど香の物はオーガニックを使用すると料理全体がぐっと引き立ちます。片面にペッパーをふって、こちらの面から焼きつけます。

▶写真右に見える有機フレンチマスタードはドイツで1947年創業のツヴァルゲンヴィーゼ社製(ホットマスタード)。昔ながらの製法で石臼で丁寧に挽いて作られたもの。たっぷりのマスタードに包丁で叩いたパセリを散らしています。お肉にマスタードを付けながら頂きます。自宅の近所でよく利用するグリーンリーフ(北谷町)で購入しましたが、現在は取り扱いがないので他の商品または仕入れ先を検討中です。

▶付け合わせは、ブロッコリーを茹でてから、トマト、ズッキーニ、ベーコンと一緒に炒めたもの。野菜は入手できるときは必ず有機を購入しますが、タイミングが合わなければ国産を選びます。有機トマト、有機ズッキーニはときどきサンエーハンビータウンなどで置いています。

ベーコンは添加物が多く使用されがちな食品の代表格で、注意して購入しなければほぼ確実に着色料、保存料などが添加されています。ベーコンがメインの料理のときはネットで取り寄せますが、付け合わせなどの場合は、サンエーハンビータウンでグリーンマークブランド無塩析のベーコンスライスを購入します。

オリーブオイルフレスコバルディ・ラウデミオを 使っています。ラウデミオは、トスカーナの生産組合「リ・オリバンティ」が自ら制定した厳しい基準に合格したエキストラヴァージンオリーブオイルだけに与 えられる名称で、現在35種類のラウデミオが生産されています。中でも800年続いているフィレンツェの名門フレスコバルディ公爵家のワイン/オリーブ農 園で生産されるオリーブオイルは世界最高品質と言われています。香りが高く、スパイシーで、上品なコクがあり、私もこれに勝るオリーブオイルを経験したこ とがありません。500mlで4200円と高価ですが、その価値は十分にあります。

お米は、末金のコメントにもありました、岐阜県下呂温泉でとれる「龍の瞳」。 様々なコンテストで何度も日本一に選ばれているお米で、驚くほどの瑞々しさとハリがあります。いくつかの種類が販売されていますが、私たちはその中でも有 機JAS米を年間予約して、送付してもらっています。今年も11月から新米が発売されていますが、このお米は水分を多く含むため、新米はより大きな粒でさ らにおいしさが際立っています。

▶最近は土鍋炊飯がブームのようですが、私たちはハリオ製フタがガラスの炊飯鍋で炊いています。この土鍋は実に扱いやすく、電気炊飯器並みの手軽さで、最高に価値のある買い物のひとつになりました。土鍋で炊いたごはんは電気やIHの炊飯器とは比較にならないおいしさで、一度経験されると二度と手放せなくなると思います。

飲み物はいつも料理に合わせることにしています。和食には有機緑茶、中華には有機ウーロン茶、韓国料理には有機コーン茶といった感じです。今回のステーキには、ムソーの有機ストレートアップルジュースをドイツ産の天然炭酸水ゲロルシュタイナーで割って頂きました。アップルジュース100%有機果汁であることはもちろんですが、ストレートは濃縮還元とは比較にならないおいしさです。炭酸水も天然のものがやはり個性と味があって、安価な炭酸水とはまったく別物です。いずれもサンエーハンビータウンで購入できます。

【樋口耕太郎】

なぜ私たちが食に関心を持つのか、おいしいレジスタンスを参照下さい。

「たべる毒薬」

私とパートナーの末金が農業と食について深い関心を持つようになって9年ほどが経ちますが、食の現実を知れば知るほど、私たちが「食べていると思っているもの」と「実際に食べているもの」が、どれだけ乖離しているかに愕然とすることの連続です。私たちの食べものは惨憺たる状態にあります。

私たちが毎日食べているもの、子どもたちに与えているものの大半は、コストを削るために極力低価格の素材で作られています。その質の低さにも関わらず、私たちに「食べたい」「もっと食べたい」と思わせるために、糖分と脂肪分と塩分がふんだんに添加されるため、命を支えるはずの食品が、体を蝕む最大の要因になっています。現代の食品製造技術では、ほとんどどのような素材であっても「おいしい」味に変えてしまうことができます。食欲をそそる香りを加え、食感を豊かにし、見た目に美しく、コクと旨味を加え、簡単に用意できて、便利で、流通・保存を容易にするために大量の食品添加物が駆使されます。私たちの食は、薬品で味が整えられていて、カロリーたっぷりで「おいしく」感じるのですが、質と栄養素と素材は劣悪で、食品というよりも、「たべる毒薬」に近いと思うことがあります。

幸せな社会は幸せな食事から

私たちは、社会をよりよくするために、自分自身が行動することにこそ最大の価値があると考えています。社会を変えるために、まず自分が変わる。理想の社会を目指すのであれば、自分こそが、まず、理想社会を生きるべきでしょう。同様に、理想の食を考えるのであれば、何よりも自然で、安全で、おいしく、エネルギーに溢れ、愛情に満ちた毎日の食事をとることが何よりも大切だと思うのです。私たちにとって理想の食事を深く丁寧に追求することは、効率重視の価値観によって愛情が常に後回しにされがちな現代社会への「おいしいレジスタンス」なのです。

そのような動機から、積極的かつ頻繁に買い物に出るようになり、スーパーでの買い物の際に食品の成分表示を確認するようになり、有機無農薬野菜を優先して食べるようになり、無農薬のお米を取り寄せ、牛乳を吟味し、飲み物に注意を払い、塩、砂糖、醤油、なたね油、ごま油、オリーブオイル、味噌、酒、みりん、酢、スパイス、ハーブ、豆板醤、甜麺醤、コチジャン、オイスターソース、バターなどを始めとした調味料、ハム、ソーセージ、肉、魚、チーズ、たまご、漬け物、梅干し、パスタなど食材の一切を見直し、新鮮な素材を使って、自分たちで美味しく料理し、味わい楽しみながら食べはじめたところ、文字通り人生が変わりました。

明らかな変化は、短期間で体がびっくりするほど若返ったことです。子どもの頃から毎年必ず何回かは病気に臥せっていたことが噓のように、一切病気にかからなくなりました。風邪を引くのは当たり前のことだと思っていましたが、どうやら、風邪を引かないことの方が当たり前だったようです。「おいしい毒薬」を食べることを止めれば、本来の健康な状態に回復するということでしょう。以来私の医療費はほとんどゼロで、ありがたいことに医療保険は払い損の状態が続いています。自分が健康になれば、その保険料が誰かの役に立ちますので、それだけで向社会的と言えるでしょう。

単に病気にならなくなっただけではなく、体に力がみなぎり(回復し)、疲れなくなり、夜は深く眠り、朝は溌剌と起き、学ぶことへの意欲が増し、仕事がさらに楽しくなり、情熱的に働き、人間関係に恵まれ、不安がなくなり、ストレスを感じなくなり、愛に溢れ、幸せで、生産性の高い人生を送っています。お世辞も混じっていると思いますが、多くの人から年齢よりも相当若く見られますし、美容室では髪と頭皮の若々しさを褒められ、白髪もいまのところ目立たず、週何日かは6キロを苦もなく走る体力があります。

おいしいレジスタンス

私たちは、毎月およそ50冊程度の雑誌に目を通していますが、その中で、おいしそう!試してみたい!とひらめいた料理のレシピをストックして、その中から毎日必ず違う料理を二人で作って食べています。少なくとも年間300日300食の異なる料理を作るのですが、私たちはこのような生活をもう8年以上続けていますので、これまで恐らく2400種類の異なるレシピを作って食べていることになります。

食べることは、単にカロリーを獲得することではありません。私たちの人生を豊かにし、ひいては幸せな社会を実現する強力な市民運動でもあるのです。このような趣旨で、沖縄大学でも「観光と食」という講義を開講し、学生たちに「おいしいレジスタンス」の実践を勧めているのですが、私が講義でこの話をするたびに、学生たちからは私が具体的にどのような食事をとっているのか、興味津々で問い合わせを受けることが多くなりました。そこで学生たちにより具体的なイメージを伝えるために、そして、今までの私たちの実践をよりインスピレーショナルな形で表現するために、私たちの「今日のごちそう」を紹介することに致しました。

これだけの回数を重ねていくと、料理を美味しくする要素がだんだんと分ってきますし、レシピを作っている料理研究家の方々の意図や経験の深さや考え方が理解できるようになってきます。単なる料理ブログではなく、食材の内容、調達先、価格、料理の考え方などをまとめ、「おいしい市民運動」の実践の場としていこうと思っています。

【樋口耕太郎】