本日の沖縄タイムス社会面に、沖縄基地経済に関するインタビュー記事を掲載頂きました。冒頭のサーカスの子象の話は、私が学生に必ずする話です。 サーカスの象は巨大な身体と人並みはずれた力を持っています。少し力をかければ簡単に逃げ出すことができそうなちっぽけな杭に繋がれているのですが、それ を振りほどいて自由になろうとは決して考えないそうです。それは、生まれたばかりの小さな子象の時から杭に繋がれているからです。

心理学的には「学習性無力感」と呼ばれる現象で、現代社会に疲れた大人の姿、情熱を忘れた若者の姿、思考力と自立心を失った沖縄の姿に重なります。

私が学生に伝えたいメッセージは、自分の足を繋いでいるように見える鎖と杭は、子象の頃の記憶を根拠にした幻想に過ぎないということです。自分自身 を縛っているのは、自分が作り上げた記憶であり、その記憶に捉われている限り、現実を直視する力も、分析する思考力も、自分を変える行動力も生まれませ ん。

サーカスいちの巨体を誇る象は、物理的には(あるいは経済的には)大きな存在かもしれませんが、精神的にはちっぽけな子象用の檻に入って暮らしてい るのと変わりません。沖縄の基地経済の最大の問題は、経済でも、産業でも、金融でも、政治でも、軍事でもありません。心と勇気の問題です。

【樋口耕太郎】

先週の沖縄は特別警報が出るほどの大型台風に見舞われました。
あなたは被害に遭われませんでしたでしょうか。
北谷に住んでおります私の方は、今回は東からの風だったこともあり、
電話線が切れるぐらいのことで済みました。
今時はスマホもあり、電話もネットもスマホが固定電話の代わりを
果たしてくれました。

台風でいつも大きく困るのは何よりも停電です。
前回の台風では停電が長く続き大変困りましたので
今回はほっと胸をなでおろしました。
ただ、前回の停電の時は、長時間ろうそくの灯りで生活をし暗く、
クーラーも止まり暑くと、大変不便でもあったのですが、
柔らかい光のもと、昔の人達の生活を偲び、何かしら温かく
ほのぼのとした想いにも包まれたものです。

社会において、まだまだ不安なことが多い中、目新しい便利なものや
サービスが次々とできあがり、それらによって、私達の暮らしはどんどん
変化しています。でもどうでしょうか。
新しいものが、私達の暮らしに増えていくということは、
一見うきうきすることですが、暮らしの中に古くからあった大切なものを、
知らず知らずに失ってしまうようにも思うのです。
私が思うに、日常の煩わしいこと、面倒くさいこと、手間がかかること、
時間がかかること、淋しく思うこと、不安に思うことなどと、
ひとつも向き合わない暮らしになっていくようで怖いのです。
面倒くさいことを丁寧に仕上げたり、一人で淋しさに耐えたり、
目の前の人や周りの人間関係に丁寧に向き合ったりすることは、
生きていく中でとても大切なことではないでしょうか。
そうした出来事や感情と向き合わない生き方というのは、
だんだんと人間らしさを失ってしまうのではないでしょうか。

健全な進歩を考えますと、前に進むことだけではなく、
時には少し戻ってみることも進歩のひとつではないでしょうか。
あなたはどのようにお考えでしょうか。

麗王は、日常の煩わしいこと、面倒くさいこと、手間がかかること、
時間がかかること、淋しく思うこと、不安に思うこと、
人に対し愛情を持って丁寧に向き合うことなど、そういった
「あたりまえのことと、しっかり向き合う」ことにこそ、
豊かさやしあわせ、楽しさや喜びがある、ということを
伝えていく店でありたいと思います。

麗王の中には、いわゆる一般のお店にある最新のカラオケや美しい女性達など
何もありません。でも、決して逆を行くつもりではありません。
私達が望む新しさは、何度も言うようですが、
あたりまえのことと向き合う中で、その奥底から見つけたいのです。
そういう生き方、暮らし方を、あなたと共に考えていきたいのです。
そんなことを台風でお休みしている日に改めて考えたことでした。

この海の日の連休にはいつものように北谷のアラハビーチの海辺を走りながら
自分にももっと向き合いたいと思います。
あなたもどうぞ御自分と周りの方々に、ていねいでやさしい週末を
お過ごしくださいね。

【2014.7.17 末金典子】

愛ではないもの

1.あなたの外側にあるすべてのもの。
2.あなたが必要とするすべてのもの。
3.あなたが捨てられないすべてのもの。
4.あなたが獲得しようとしているすべてのもの。
5.あなたがオープンにできないすべてのもの。
6.あなたが維持したいと思うすべてのもの。
7.あなたが独占したいと思うすべてのもの。
8.あなたが誰かを犠牲にするすべてのこと。

【樋口耕太郎】