お元気ですか?

今週はクリスマスですね~!
クリスマスの由来は諸説あるのですが、古代ローマ暦の冬至の日に行われていた
太陽神への収穫祭が最初で、のちにキリストの生誕祭と結びついてクリスマスに
なったと言われています。
冬至の頃は、日が短く寒く、古代の人々は闇への不安や恐れを感じる一方で、
不滅の太陽を信じて、盛大なお祭りを各地で行っていたようです。
クリスマスに様々なお料理を食べるのは、その年の収穫物をすべて食卓に
並べていた収穫祭の名残だとか。
クリスマスを厳かに過ごす習慣は、昔太陽が休んでいる時期に騒ぐと光が
戻ってこないと信じられていたためなのだそうです。
これらは現代のクリスマスにも引き継がれていますね。
恋人とロマンチックに過ごしたり、友達同士でワイワイ騒いだり…が主流の
ジャパニーズクリスマスですが、あなたはどんなふうにお過ごしに
なられるのでしょうか。

さて、こんなふうに季節の暦の折々にお便りをさせて頂きましたが、
今年も最後のお便りとなってしまいました。
毎回お読みいただき本当にありがとうございました。

きっと、いまこのお便りを読んでくださっている方で、食べ物やお金で
不自由している方はおられないことでしょう。ですが、生きることに悩み、
幸せだと胸を張って言えない方が案外多くいらっしゃるのではないでしょうか。
私達はすぐに他人と自分とを比べ、嫉妬し、常になにかを欲しています。
自分だけをより快適に、より豊かにと、無意識に生きています。
「いえいえ、我が子の幸せが無上の喜びです」という方がいらしても、それは、
「自分の」子供だからではないですか? 自分の母親だから、自分の息子だから
より良くと願う、これは人間の性なのでしょう。

でも、その「自分だけが」という気持ちが、やがて自分を追い込み、
心を疲弊させ、ときに人を自死に追いやる。他人を踏みつけてでも、
嘘をついてでもという気持ちが、自分も他人も傷つけるのです。
いま、世界で絶滅の危機に瀕している動物達。彼らは人間の発展の陰で、
いのちを削らざるを得なくなった犠牲者です。

あと10日ほどで丑年から寅年へと変わりますが、その虎や、
この沖縄のイリオモテヤマネコも、「近い将来」に絶滅するしかない種である
という事実を知り、自分達の身勝手な行いが地球環境をいかに歪めてきたかと
感じざるを得ません。

あなたが2010年に手に入れたいものはなんですか? モノやお金ではなく、
そろそろ心を耕して、「自分だけ」という考えを越えて生きてみませんか。

お釈迦さまが涅槃に入られたとき、沙羅双樹は時ならぬ花を咲かせ、
師を囲むように弟子や老若男女、虎をはじめ、多くの鳥獣が慟哭したのだとか。
お釈迦さまは命あるものすべてに心を働かせておられたのですね。
孤独死が増えている現代とはなんという違いでしょう。

いかに生きたか。それは、お金やモノの問題ではなく、喜びや悲しみを共有する
仲間の有無、すなわち後ろを振り向いたときに、誰がどんな顔でそこに居るかが
問われるのではないでしょうか。

まずは、あなたの周りにいる人達、あなたが知り合った全ての人達、動物達に
あなたの愛を惜しみなく与えてあげてくださいね。
愛は決して枯渇しないのだから。
もらおうもらいたいと思うあなたは「無い人」ですが、
求めず与えていくときのあなたは「豊かな人」なのだから。
そして、このクリスマスやお正月には愛する人たちと共に楽しく楽しく
お過ごしくださいね。

さて。
本当にあっという間に、一年の終わりということになってしまいました。
なぜとはいえない気ぜわしさと、街の賑わいとはうらはらに一抹のさみしさも
おぼえる時です。忙中に閑あり。

そして。
今年も本当にありがとうございました。
世の中も大きく揺れ動いた今年一年でしたが、私にもこの一年いろいろなことが
起こりました。
ひどい腱鞘炎には一年中悩まされました。右手はほとんど使えず激痛が襲い、
二ヶ月に一度は注射を打ち続けて凌いでいました。その他にも小さな事も含め
本当にいろいろと…。
そんなふうに自分の身に何かが起こる度ごとに、
その道のエキスパートのみなさんに教えを乞い、助けていただきました。
医師、薬剤師、検査技師、建築士、会社経営者、マスコミ関係、司法書士、教師、
税理士、会計士、銀行マン、弁護士、政治家……
数え上げるとキリがないほどです。
つまりはそれだけたくさんの異業種の素晴らしい方々に、
支えていただいているんだということをしみじみと想いました。
だからどんなトラブルが起ころうとも、いつもそういう方々に
支えていただきながら今日があることの幸せの方が、どんなに幸せなことかと
胸が熱くなりました。
いつもお心にかけていただきまして本当にありがとうございます。

あなたが穏やかに一年を締めくくることができますように。
そして何より、あなたがどうかこのうえもなくお幸せでありますように。

【2009.12.22 末金典子】

もうすぐ師走だというのにまだまだ暖かい毎日ですね。
でも何だか嬉しいような。
あなたはお元気ですか~?

さて、2000年にアメリカで制作された「ペイ・フォワード」という映画を
ご覧になったことがあるでしょうか?
11歳の少年トレバーが「世界を変えたい」と考えた奇想天外なアイデアが、
他人から受けた厚意をその人に返すのではなく、まわりにいる別の人へと
贈っていくという「ペイ・フォワード」。
やがて、少年の考えたこのアイデアが広がり、心に傷を負った大人たちの心を
癒やしていく…というストーリーなんです。

先日これと同じようなことが私の身に起こったので、あなたと分かち合いたいと
想い、これを書いています。

私は北谷のアラハビーチの目の前に住んでいて、毎日7キロほどジョギングを
しています。コースは、アラハビーチを横目に走りながら、北谷公園を通り抜け、
サンセットビーチを回り込み、また戻ってくるという具合。
その道々に、もうわんさかノラ猫ちゃん達がいるんです。50匹かなぁ?
もっとかも…。デブ猫から、生まれたての子猫までもう本当にノラ猫だらけ。
私は家でも猫を3匹飼っているのですが、外出の際にはノラ猫のためにとバッグに
キャットフードを持ち歩くほどの大のネコ好き。
そんなわたくしとしましては、このノラ猫達のことも放ってはおけず、
ジョギングの際にはリュックに500グラム入り1袋のキャットフードを詰め込み
ノラ猫を見かける度に勝手につけた名前で声をかけ、ご飯を配り歩くという始末。
でも、以前そのことで大阪の建築家の先生に厳しく叱られたことがあるんです。
「あなたは偽善者だよ。そのネコを一生飼ってあげられるのならエサをあげても
いいと思うけど、ただ一時だけあげるというのは、所詮あなたがその時だけ
いい人になりたいという自己満足に過ぎないんじゃないの?」と。
すごく考え、悩みました。確かに一理あるかな、と。それでも、
「もしも餓えて死んでしまうのなら、その前に一度でも、あのご飯美味しかったな、
人間に優しくされたな、という想いがあってもいいのでは。」
と思ってみたりもして、自問自答しながらもご飯をあげ続けていたある日のこと
なんです。
走っている私の前方で、アメリカ人の男の人が、私の500グラムどころか
バケツにもうどっさりとキャットフードを入れて、スコップでノラ猫達に豪快に
ご飯を配り歩いているではありませんか!!
なんだかもう胸がいっぱいになってしまい、思わずその人に駆け寄って、
眼をうるうるさせながら、感激の意で片手は胸に手を当てて、
もう片手はアメリカ人の腕に軽く触れながら
「Thank you!  Thank you very much!!」
とお礼を言いました。
以来このアメリカ人も毎日ノラ猫達にご飯をあげているんだということがわかり、
私は同志を得たような感じもして、フード入りリュックを背負って
また走り続けていたそんな先週の出来事です。
いつものように「はっちゃん」という白黒ぶち猫の横ににしゃがみこんで
ご飯をあげている私の所に、御年配の御夫婦が立ち止まられ、
「あぁ、あなただったのねぇ!!」
と声をかけてこられました。
うかがうに、米軍雇用員を定年退職なさったというこの御夫婦が
先日いつものようにウォーキングしておられた時、目の前で「アメリカ~」が
バケツに入ったフードをノラ猫達に豪快に配り歩いていたので、
とっても感動なさって、
「外人さんは本当に親切だね~。偉いね~。」
と声をかけたらしいんです。そうしたらそのアメリカ人が
「オキナワの女性だって配っている人がいますよ。
その人が以前『ありがとう。本当にありがとう。』と目を潤ませながら
僕の腕に触れ声をかけてくれたんです。
僕は最初不思議に思いました。この女性は猫達の親でもないし、飼い主でもないし、
この公園の人でもないだろうに、なぜこんなにも感激して、僕にお礼を
言ってくれるんだろう、と。
でもその女性に腕を触れられながらお礼を言われた時に、
とても温かい気持ちが腕からどんどん伝わってきて幸せな気持ちでいっぱいに
なったんです。
だからあなた達が僕を労ってくださる気持ちがおありなら、
あなた達が彼女に出会った時に、どうか彼女の腕に触れてその気持ちを
ペイフォワードしてあげてくださいませんか。」
と言ったそうなんです。
そう話し終わるやいなや御夫婦の奥さんの方がいきなり私を
ぎゅっと抱きしめてくださり、
「あなただったんだねぇ。会えてよかったさ~。ね~ね~、毎日本当に偉いねぇ。
ありがとうね。」
と言ってくださったんです。
もうただうるうる……。
お礼を言われたくてしていたことではないけれど、こんな風に見ず知らずの方から
帰ってくるなんて、なんだかとっても感激したのです。

少し似た話ですが、
オリオンビールさんの量販課長代理で當間さんという素晴らしい方がいます。
提携関係にあるアサヒビールさんの東京本社出向に、相手をまず知ることからと
真っ先に手を挙げ、奥さまと共に転勤し上京。アサヒさんの社宅に住み、
夜間にはグロービス経営大学院で学んだというがんばりやさんの人で、
この當間さんが先日涙ぐみながら素晴らしいエピソードをお話くださいました。
東京在住の時に奥さまが妊娠なさっておられていて、頼る人も知り合いも
いないまま、不安のうちに東京で赤ちゃんを産むことになったそうです。
するとそれを知った社宅の人達が毎日食事を持ってきてくださったりとても親切に
お世話してくださったそうです。當間さんの奥さまはすっかり恐縮してしまい、
「こんなに親切にしていただいても、私達は沖縄のオリオンビールの人間であり、
いずれは沖縄に帰る身です。どんな風にお返ししてよいやらわかりませんので
どうぞお構いなきようお願いいたします。」
とおっしゃったそうなんです。その時社宅の奥さまがこう答えられたそうです。
「當間さん、お返しなどここでする必要など何もないんですよ。
でもどうしても気詰まりでとおっしゃるなら、いつかあなたが沖縄に
帰られた時に、どなたか困っている方がいらしたらその人に親切に
してさしあげてくださいね。」と。
これもまた素敵なペイフォワードですよね。

仏教の概念に「布施」の心というものがあります。
私は大阪の「布施」という所に生まれ育ち、おじいちゃんがその昔お坊さんだった
こともあって、おじいちゃんがよくこの「布施」について話してくれました。
「布施というのは布(あまねく)施(ほどこす)で、物を施すだけが決して
布施ではないんだよ。物がなくとも施しのできることがたくさんある。
布施というものはしてあげているのではない、させてもらっているんだよ。
私達は布施することによって、さっぱりとした清々しい気持ちになる。
させてもらったおかげで慈悲の心の養いを自分自身の中に受けているんだよ。」
と。今回私はたまたまお礼を言っていただけることになったけれど、
これからもこんな布施の気持ちで生きてゆきたいなぁ、と思ったことでした。

他人のために何かをしてあげる、例えば、愚痴などをやさしく聞いてあげる、
やさしい顔ですごす、やさしい言葉をかけてあげる、お年寄りや困っている人に
手を差し伸べてあげる……。
もっと私にできることは何かしら。
あなたにできることは何ですか?

さて木曜日はボジョレーヌーボーの解禁日。
いつもやさしいあなた自身へのお布施においしいワインはいかがでしょう。

【2009.11.17 末金典子】

お元気ですか?
だんだん涼しくなってきましたね~。体調など崩されておられませんでしょうか。

さて、あさってはハロウィンですね。
ハロウィンの始まりは、古代ヨーロッパの原住民ケルト族の宗教行事。
11月1日を新年とする彼らはその前夜に死者の霊が訪れると信じ、充分な供物が
ないと悪霊に呪われると恐れていました。そのため魔よけをし、同時に秋の
収穫を祝う祭りを行っていたとか。その後、多くの聖人たち(Hallow)を
祝う万聖節となり、近年、欧米では魔女やお化けなどの仮装をした子供たちが
「Trick or treat!(お菓子をくれなきゃイタズラするぞ!)」と家々を
回ったり仮装をしたりして楽しむ日に変化しています。
日本でも注目されるようになったのはここ20年ほどのこと。
日本では子供のお祭りのようになっていますが、ハロウィンの行事が
ポピュラーなアメリカでは、大人たちも本格的な仮装に身を包み、
街中はもちろん職場にまで登場。友達や仲間同士で集まり、パーティで
盛り上がります。
大人もたまには、子供に帰って遊ぶ、童心に戻るということは大切なことかも
しれませんね。

それに実は、子供から逆にいろいろなことを学んだり、ハッとさせられたりって
いうことが意外とありませんか?

それで思い出したのですが、私が20年ほど前にハワイにいた時のことです。

ある日曜日の午後。
歩道の縁石にちょこんと腰かけて、一人熱心に本を読む少女がいました。
その脇に置かれた小さなテーブルには紙コップとポットがありました。
くわえて、一枚の貼り紙。そこに書かれた文字はすこぶる下手っぴいでした。

Today’s Special. Ice Lemonade. 25cent.

「こんにちは。」とわたし。
「こんにちは。」少女はちょっとびっくりしながらも、わたしを見て
ニッコリと言葉を返しました。
「これ冷たいのかしら?」わかっていながら、わたしは少女に
ふと聞いてみました。
「もちろんよ。」
「う~ん…」わたしはわざと悩んで見せました。
「今日しかないわよ。」
「え?」
「明日来てもないのよ。学校だもん。」
「そうなんだ。」
「だから、このレモネードは今日の特別なの。」
「そっか、じゃ飲んでおかないとね。」

わたしは少女に25セントを渡しました。
少女は読んでいた本を脇に置いて、両手でポットを持ち、コップにレモネードを
なみなみと注いで、満面の笑顔でわたしにコップを手渡しました。

「よくかきまぜて飲んでね。ありがとう、良い一日を。」
「ありがとう、あなたも。」

わたしは少女が言った「今日」という言葉に心を奪われました。
そして、少女にとっての「今日の特別」である手作りのレモネード。
それをゆっくりと味わいながら「明日でなく今日なんだな。」とつぶやきました。
なんだかとてもうれしかったことを今でも時々思い出すのです。

さてさて、あさっては子どもの気持ちに帰って、ハロウィンをわいわい
楽しんじゃいましょうよ!
今、この時を、大切に、うんと楽しみましょう!
私も魔女に変装し、八ロウィンの飾り付けやかぼちゃのお菓子とともに
あなたをお待ちしております。

【2009.10.29 末金典子】