ゴールデンウイークの連休中の方も、カレンダー通りに出勤なさっておられる方も
いらっしゃることと存じますが、春の爽やかな気候を味わっておられますでしょうか。

熊本や大分で地震による恐く不便な思いといまだに闘っていらっしゃる皆様、
被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申しあげます。
まだ避難所にいらっしゃる方々が一日も早くおうちに帰ることができますように。
どうぞ被災地が一日も早く復できますようにと願わずにはいられません。

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さて、今年のゴールデンウイークの最終日は母の日ですね。
毎年この時期には母との想い出を書かせていただいているのですが、
あなたの胸にあるお母さまとの思い出はどんなことでしょうか。

私は沖縄に住んで26年になるのですが、人生で一度だけの入院という体験を
30代の頃にここ沖縄で経験したことがあります。
肺炎手前のような症状だったのですが、その病状よりも、地縁血縁のいない
この地で入院ということが心細くて不安な思いを経験しました。

幸いなことにあっという間に退院できそうでしたので、
大阪でレストランを営んでいる母が「これから沖縄まで行くわね」と
電話をくれたのですが、「お店を休んでまで来なくても大丈夫よ。」と断って、
自宅で3日ほど休んでいました。すると速達で母からお見舞いの封筒が
届きました。水彩画のように繊細なタッチで、淡い色とりどりのの花々と
四葉のクローバーがかわいらしい封筒で、そこには、ひらがなで「こころばかり」と
書いてありました。最初は、家族なのだからこんなことしなくてもいいのにと
思いましたが、母らしいと思い直し、「ありがとう」と心でつぶやいて
受け取りました。

私が子どもの頃、母は挨拶にとてもうるさい人でした。その頃には頼られることも
多かったので、今もこういうことをきちんとする母を嬉しく思いました。

その母がまたいつも私にうるさく言ったことは、
「何かをしていただいた時には、そのありがたい感謝の思いを必ず言葉にして
文字にして、お伝えしなさい。」ということでした。
私がこうやっていつも麗王にいらしてくださるあなたに心を込めてお手紙を
書き続けることができているのは、母の影響に他なりません。

はるばる母が届けてくれたお見舞いの封筒は、今も私の手元にあります。
ときどき眺めては、母の「こころ」を思い出しています。

日曜日の母の日は温かな感謝を伝える日にしたいですね。

【末金典子】

また大きな地震が日本を襲いました。
麗王にいらしてくださるお客さまのなかにも被災された方がいらっしゃいます。
自分にできることは何だろうと思わずにはいられません。
被害に遭われた地域の皆様には、心よりお見舞い申しあげます。
被災地の一日も早い復旧をお祈りいたします。

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今年は春になってからもまだぐずぐずとした雨模様が多い毎日なので
今週からいよいよ始まるゴールデンウイークにはすっきりとした晴れ間が
続いてほしいものですね。

さて。
先日、麗王にいつもいらしてくださっている若手男性弁護士の方から
メールをいただきました。
内容は、以前より麗王にも一緒にいらしていた「彼女と別れました。」
ということでした。
彼女と少々の違和感を持ちながらも、良い人だし一緒にいて楽しい人だったので
特段別れる理由もなくずっとつきあっていたのだとか。
でもこのままズルズルいくのは申し訳ないし、彼女もお年頃でもあり
そろそろ別れた方がいいのかもと考えていた矢先、ちょっとしたことでケンカし、
悩んだ結果、別れを切り出しだということでした。

今年は激動の年と言われていて、この弁護士先生に限らず
麗王でも毎日のように「会社を辞めました」「結婚します」「会社を設立します」
「留学します」「転職します」……などと人生の大きな節目を迎えられている方が
続々と御挨拶にいらしてくださっています。
そういう転機には必ず人との出会いと別れがつきもので、特に別れは、
悲しくもありつらいものです。

ただ、私は人間関係にも「消費期限」のようなものがあると思っています。
全ての人といつまでもお付き合いするのは無理があります。
人間関係をいつ終えてよいかわからなくなってしまった時、私はいつも
花瓶に生けたお花を思うのです。
お花を何回水切りをしても、もうここから先はダメだなとわかる線があります。
水切りをすればもちろんお花は日持ちするけれど、ここから先はさよならだなって
わかるときがあります。
もうここから先は自分が決めたことじゃないなって。
もちろんそこにくるまで愛情をかけ心を尽くして真剣に向き合ってきたからこそ
自ずと関係が終わったり深まったりするのだと思います。
別れは、それぞれが正しい人に向かうためにお互いの手を離し合うこと。
今までの出会いと別れはすべて、この人と出会うための準備だったんだ、
それどころか、この人と出会わなければならないからこそ、今までの恋愛は
実らなかったのだ、と思うこともできるぐらいの出会いが
次に必ずあるはずなのです。

よぉく物事を見ていくと、一つ一つの事柄がどれほど繋がり合っているか
ということに気づいて、ぞっとしたり、びっくりすることがあります。
たとえば、コーヒーをどういうタイミングで飲み終わるのかとか、
もし私がコップを倒したとしたら、その本当の原因がどこにあるのか、
それはもしかしたら、今朝起きたときの目覚まし時計を止めたときの感じから
来ているんだとか。それくらい繋がっているんです。
だけど、そういうことをいちいち意識していたら、それこそ、本当におかしくなっちゃう!
だからこそ一瞬一瞬を雑にしないということが、唯一自分ができることなのだと
思います。
「このコーヒーをいつ飲み終わろうかな、そしたらその後どうなるんだろう」と
気にするのではなく、自分は完璧なタイミングで完璧なことをしているんだって
自信を持つことが大事なのだと思います。
つまりは、ネガティブなことにもすべて意味があると考えると、人生は一瞬たりとも
無駄になりません。
どんな恋愛も、自分の人生の必然だったと思えるはずなのです。

結婚なさっている方ならぜひ自分の結婚の意味を見直してみてほしいのです。
なぜ自分は今の夫や妻と結ばれたのか?
あるいは結ばれなければならなかったのか?
もちろん、自分たちの子供を授かるためにこそ、この相手と出会ったのだと
考えてみるのもいいでしょう。
でもそれだけじゃなく、もっと自分自身の人生においての、大きな意味を
見つけてみてほしいのです。
たとえば、自分に与えられた使命を全うするために、そのパートナーとして、
そのサポーターとして相手がどうしても必要だった、みたいに。
あるいは、自分の親に対する相手の優しさを見つけて、なるほどそのために
自分はこの人を選んだのかもしれないというふうに。
後からその意味に気がつくのも、また素敵なこと。
必ず探し出せます。まさに宝探しみたいに、とても大切なモノを
ようやく見つけた喜びに心が震えるはず。

みんな同じボートに乗っています。
すごいバランスのもとで、私たち一人一人がこの世に、そして同じタイミングで
生きているのです。

このゴールデンウイークはパートナーやお友達や御家族と出会った意味を
噛みしめながら尊びながらどうぞ楽しくお過ごしくださいね。

かけがえのない時間の中でお読みいただき、ありがとうございました。

あ、因みに、件の弁護士先生ですが、彼女と別れた後で、
東京に結婚式に行かれた折にビビッときた女性と出会い、
早や結婚が決まったとか! お慰めメールまで送ったというのに。もうっ!

* GW中、麗王はカレンダー通り営業いたします。(日、祝祭日お休み)

【末金典子】

早いものでもう3月。少~しですがなにやら春の香りがしてまいりましたね~。
寒かった2月もお元気に乗り切られたことと存じます。

さて。
この春から始まる連続テレビ小説「とと姉ちゃん」のモチーフとなり
急に話題の人となっている「しずこさん」こと大橋鎭子さん。
26歳の彼女が、敗戦の翌年の1946年に、銀座のビルの片隅で、
戦禍で荒れ果てた暮らしの復興に少しでも役立つようにと、
今でも売れ続けている雑誌「暮しの手帖」の前身である「スタイルブック」を
出しました。

「はげしい風のふく日に、その風のふく方へ、一心に息をつめて
歩いてゆくような、お互いに、生きてゆくのが命がけの
明け暮れがつづいています。せめて、その日日にちいさな、
かすかな灯りをともすことが出来たら……この本を作っていて、
考えるのはそのことでございました。」
(1948.9「美しい暮しの手帖」第1号あとがき)

当時の若い彼女の一文が胸に迫ります。「生きてゆくのが命がけ」なんて
今の世の中においてはヘンな表現ですが、とてもリアル。
人間として最低限の暮らしが脅かされている日々ということですね。
敗戦後の日本を生きのびる人々の苦しい息づかいが伝わってきます。
そんな疲れ果てた日本の時代にあっても、虐げられた女性を勇気づけ
鼓舞し続けた「しずこさん」。

「どんなに みじめな気持ちでいるときでも
つつましい おしゃれ心は失わないでいよう
かなしい明け暮れを過ごしているときこそ
きよらかな おしゃれ心に灯をつけよう

つつましい おしゃれは
あなたの心ににおう一束の青い花
あなたの夢に流れるとおい子守唄
そして あなたの日日を太陽へ翔らせる翼

お友だちよ 嘆くのはやめよう
私たちに青春のあるかぎり
私たちには希望がある」
(1946.6「スタイルブック」冒頭)

今の世は敗戦後ではないにしても、私達の暮らしを揺るがすように
吹きつけてくる風が日々強くなってきています。

そんな世にあって、美しくあること。おしゃれでいること。素敵を求めること。
全て大事であり、享受してゆきたい。
けれどそれらはとても壊れやすい形をしています。突風一つで吹き飛んで
しまいます。
だからこそ本物を探さねばなりません。テレビ・雑誌・ネットに溢れる広告的な、
雰囲気だけの「ステキ」は、きらびやかなものもシックなものもナチュラルと
されるものも、もうおなか一杯になりました。

本物の美しさとはもっと強靭なものです。優しさとは強いもの。
誰もが逆風を感じ始めているはずの今こそ改めてそれを求め、
見出したいものです。
自分の大切な人たちと営む「美しい暮し」を守り持続するためには、
時には風に向かわねばならないのではないでしょうか。

そのためにも敏感でありたい。そう思います。
暮らしが命がけになってしまう前に、その源を、本物を、見極める目や賢さ、
対峙する術、時代を乗り切る能力を身につけたい。
仲間や後輩や子供たちにそれらをきちんと伝えてゆきたい。
あさってのおひな祭りを前に女性の生き方や美しさについて
想いを馳せたことでした。

その「おひな祭り」。もともとはこの日に川で手足を洗って心身の穢れを祓い、
邪気を身代わりの人形に移し、川や海に流し、家族全員の厄を祓い、
夫婦円満を願うという行事だったそうですが、後に、親が女の子の成長の節目を
祝い、年中行事に寄せて女の子の将来の幸せを祈るものとなったそうです。

あさっては麗王で、酒かすから作った手作りの白酒や、桜餅、
無添加のえびといくらの手作り海鮮ちらしずし、無添加ひなあられ、
菜の花のおひたし、三重県産特大ハマグリの潮汁などで古式ゆかしく
お祝いしようと思っています。あなたもどうぞ御一緒くださいね。

【末金典子】